2023年2月21日
「浜なし」の称号を逃した彼らから学んだヨコハマSDGsのかっこ良さ
楽しく♪お得にSDGs！
横浜夕方マルシェは、「フードロス」「地産地消」「共生社会」をテーマに、横浜に暮らす個人や企業、団体の抱える課題を、人とのつながりによって解決する「課題解決型のマルシェ」です。横浜市役所の市庁舎2階の多目的スペースに、横浜の加工食品、横浜野菜を使ったお惣菜、地域の障がい者さんやハンドメイド作家さんの手作り雑貨、横浜産の野菜などのワゴンが並びます。皆さんのお越しをお待ちしています！
厳しい基準を満たせずに「浜なし」になれなかった梨が横浜夕方マルシェに登場。そして10分で消えていく
9月8日木曜日。彼らは突如その姿を現しました。「浜なし」の称号を逃し「浜なし」になれなかった彼らが。そして10分で消えました。一瞬で完売したのです。
話は数日前に遡ります。私たちのもとに、横浜産の梨が入るとの連絡がきました。横浜産の梨といえば、「浜なし」が有名ですよね。
「浜なし」とは、品種の名称ではなく、平成27年に横浜農協が商標登録したブランド名であり、一定の基準をクリアした梨だけが、横浜農協果樹部から認定されるものです。
さて、私たちの手元に届いたのは、そんな「浜なし」の厳しい基準には達することができなかった梨たち。
梨には「みつ症」という、果肉の一部が半透明の水浸状になってしまう生理障害があります。果肉の一部が水浸状となり、切ってしばらく経つと黒ずんでしまうので見た目が悪く、一般の人には販売できずに廃棄してしまうことが多々あるそうです。
食べても人体に影響は出ません。シャキシャキとした食感は失われますが、食べること自体に問題はありません。
ＪＡ横浜では、6次産業化等新規分野への取り組みとしてJAオリジナル商品（「2種類のやるＪＡんカレー」「横濱ハーバー幻の浜なし」「幻の浜なしナボナロングライフ」等）の製造に利用しています。今回は特別に「みつ症」でも軽度で、生食でも十分楽しめる梨を厳選して提供してくださったというわけです。
上から目線じゃない、心からの「もったいない」がある。ヨコハマのSDGsって、なんかカッコ良い！
実は「浜なし」。今でこそ全国に名前が通じるほど、有名なブランドになっていますが、その裏には大変な苦労がありました。
横浜市の紹介では(*)、横浜での梨づくりは昭和20年代から始まり、昭和40年代初頭には観光果樹園造成事業が実施され、生産者と行政が協力して梨栽培に取り組み始めたそうです。
甘くて美味しい高い品質の梨を育てるだけでなく、低かった知名度を上げるため、考えつく限りの広告手法を駆使し、ミニSLを梨園に走らせることまでしたというから驚きです。
この様に「浜なし」には、農家の皆さんと、それを支えてきたJA横浜をはじめとする多くの横浜市民の想いが詰まっています。
「浜なし」を毎年楽しみにしている消費者のためにも、手を抜くことなく自らを律し続け、厳しい基準の下に勝ち取ったものだけが名乗れる、それが「浜なし」の称号なのです。
少し話を変えます。スポーツでは優勝の称号を勝ち取ったものだけが素晴らしいとも言い切れません。努力が伴っている限り勝敗は誤差です。
残念ながら敗者になったとはいえ、その中身は十分に優勝レベルに値し、とても立派で誇れる存在です。人は皆、その姿にも賞賛の拍手を惜しみなく送るものです。
少量だったとはいえ、10分で完売です。「浜なし」の称号はなくても、同じ地に住む人々の努力と想いが詰まっていることを、誇り高き敗者の涙は甘いことを、それをフードロスしてしまうことを感じとり、心から敬意を込めた惜しみない「もったいない」を送ったことの表れだと考えています。
消費者もJA横浜も農家の皆さんも皆が一緒に取り組むSDGs。誇り高き敗者に敬意を払って取り組むSDGs。ヨコハマのSDGsって、なんかカッコ良い！
横浜夕方マルシェには、見た目は悪くても質だけはやたら良い商品がたくさんあります！また、今回の梨や、人気の田奈うどん（もう少しで店頭から消えます）など、突然ワゴンに並ぶ商品もたくさん出てきますので、LINEやインスタでチェックお願いします！
ヨコハマのSDGsって、なんかカッコ良い！ 毎週木曜日の16時30分から。横浜夕方マルシェをお楽しみに！
* 参考：「浜なしのご紹介 横浜市」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/nochi/kauaji/nogyo/hamanasi01.html
Photo：やすえ Text：とだはる
横浜夕方マルシェ
●毎週木曜日 16時30分～19時30分
●横浜市役所２F 多目的スペース
（〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10）
※祝日・年末・年始はお休みです
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